鹿革専門 なめし加工・染色加工
株式会社丸新産業

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製品紹介

弊社は鹿革を専門に、原皮の鞣し作業から下地造り、燻し加工・染色加工までを一貫して行なっている会社です。
他の動物の革と比べた時の鹿革の特徴は、何よりもその柔らかさとしなやかさ、そしてふんわりとした風合いだと思います。
牛革や豚革の場合には、銀面と呼ばれる真皮の表面部分をそのまま残し、硬くツルツルした革を作ることが良しとされているのに対し、鹿革の加工は伝統的にこの銀面をギリギリまで削り取り、なめらかでしっとりとした質感を追求する方向性で、その技術を発展させてきました。
こうした加工方法の違いは、それぞれの動物が生まれながらに持っている皮の性質の違いに由来しています。

奥大和と呼ばれる奈良県東部の山間地帯で鹿皮鞣しを営んできた我々の先人たちは、鹿皮という素材の特徴を誰よりも深く知りぬいた人々でした。
この地に伝承されている鞣しの技法は、牛革や豚革を扱っておられる同業の皆さんから見れば、業界の常識が通用しないぐらい特異なものになっているのだそうで、驚かれることもしばしばです。
もとより、私たちには、鹿革のことしかわかりません。
けれども、こと鹿革に関する限り、世界のどこにも負けないぐらい良質な製品を提供させてもらっているというのが、私たちの矜持になっております。

1.白革

白革 原皮を加工し、鞣しを終えた最初の段階の革が白革です。写真は鞣し太鼓から出てきた革を屋外に干しているところですが、工程としてはこの後、焼き摺りという作業で銀面を鏡のように磨きあげて、完成となります。
その美しさは、とても写真で伝えることのできるものだとは思えませんので、ぜひ手に取ってご覧いただければ幸いです。
武道具や印伝革の素材としての白革の活用範囲は限られていますが、弊社の製品の品質はすべて、この白革の出来にかかっております。

2.紺革

紺革 剣道用の武道具素材の主力商品です。使えば使うほど柔らかく味わいの出てくる革として、好評をいただいております。
化学染めの「手が青くならない紺革」も作っていますが、やはり武道具は昔ながらの「手が青くなる紺革」でなければというこだわりをお持ちのお客様にこそ、弊社の紺革に触れてみていただきたいです。全日本選手権の高位入賞者の皆さんや、立ち姿の美しさまでが審査基準となる高段者の方々の間で、知る人ぞ知るこだわりの素材としてご愛用いただいているという、うれしい評判を伝え聞いております。
甲手用は1.4mm、ヘリ革用は1.2mmの厚みを基準に製造していますが、もちろんお好みの厚さに揃えさせていただくことも可能です。

3.茶革(燻革)

茶革(燻革) 燻革(いぶしがわ/ふすべがわ)は、焼き摺りをした白革を藁を燃やした煙でいぶして茶褐色に仕上げた革で、弓道の弽(ゆがけ)や剣道の小手の手の内の材料として、主に使われています。
いぶしによる鹿革の染色は、奈良時代以前からの非常に古い歴史を持っており、正倉院宝物として知られる葡萄唐草文染韋(ぶどうからくさもんそめかわ)も、同じ技法で作られたものです。
その色合いは1300年を経た現在でも当時のままで全く褪せておらず、自分たちは千年先まで残る仕事をしているのだという誇りと実感を、私たち鹿革職人に与えてくれます。
革をいぶすことには染色だけでなく、革を強靭にすると同時にふっくらとした膨らみを与えるという効果も備わっており、その独特の味わいは他の何ものにも代えられません。
今ではもう燻革を作っている業者は日本で数軒だけになってしまっていますが、私たちはこの技法を大切に次代に伝えていきたいと考えています。

4.印伝革

印伝革 印伝とは染色した鹿革で制作した工芸品です。漆で模様をつけるのが特徴で、この名称が使用されるようになったのは江戸時代になってからといわれています。武田家の庇護のもと、甲冑の製造をルーツとして、現在では山梨県甲府市が主要な生産地となっています。
写真のように大変美しいものですが、弊社が 行なっているのは染色した下地の革を準備するところまでであり、漆を置いた印伝革そのものは、弊社では取り扱っておりません。時々お問い合わせをいただくことがありますが、そんな時には「絵描きさんのためにキャンバスを提供することが、言うなればうちの仕事です」とご説明させてもらっております。
とはいえ工芸品としての印伝革に触れた方には、ぜひとも下地となっている鹿革そのものの美しさにも思いを馳せていただければ幸いです。どんな色に染めた革でも、準備させていただいております。

5.セーム革

セーム革 「油鞣し」という工法を使って吸水性を高めた革で、自動車のフロントガラスをはじめ、時計、宝飾品、眼鏡、ハサミ、携帯電話の画面など、ありとあらゆるキラキラしたものの拭きあげ素材として広く活用されています。
外国のセーム革は羊の革を使ったものがほとんどなのですが、日本のセーム革にはほぼ例外なく鹿革が使われており、その加工技術はここ奈良県で育まれてきたものです。
もともとスボンジ状の風合いを持った素材としての鹿革の特質とも相まって、その品質は世界でも最高水準のものだと言われています。
弊社では一般のお客様への小売りは行なっておりませんが、伝統文化財の修復や自動車部品の製造、陶芸、理容といった様々な分野のデリケートな作業において、合成繊維では決して代替することのできない使い心地に、定評をいただいております。
その他、最近では、蹴鞠の技術を復活させたいとお考えのお客さまや、餌掛けを作りたいという鷹匠のお客さまなどの相談に、個別に対応させていただいてきた経緯も有しております。
鹿革に関するご質問やご相談がございましたら、ぜひお気軽に代表までご連絡ください。